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SCENE SECTION
01.死焔 / 02.絡想 / 03.砕願 / 04.対撃・救戯・要塞 / 05.喪失 /
乱れた画像の中で膝をつき、泣きじゃくるレインの肩に手を乗せた男が放った言葉は、途切れながらも明瞭に直樹の耳に届いた。
『お前が手にしたものは必ず奪われる。関わったものは全て死ぬんだ、bQ7735』
同様のシーンは繰り返された。
白衣に身を包んだ男たちはレインに愛する対象を与え、それを奪い続ける。
俗悪な映像は途切れ途切れに続き、やがてレインは与えられたものに手を伸ばさなくなった。
場面が切り替わり、四肢を拘束されたまま快楽に喘ぐ少年の姿が大きく映し出された。
艶麗な姿態を露に乱れるレインがあらゆる角度から撮られている。
あどけなさは残るものの、10歳前後に見える。数年経ったもののようだ。
甘い声、卑猥な音。
その場にいた何者かが撮ったらしい画像には目立った劣化もなく、濡れた白肌を鮮明に映し出していた。
レインはやがて、与えられる全てに抵抗を見せなくなった。
1人きりで真っ白い空間を見上げる彼の横顔にはなんの感慨もない。
映像が途切れ、砂嵐の中に赤い文字が広がった。
Reign's mice are squeaking.
Killing a mouse!
Do rats really leave the sinking ship?
It's your turn next――――Dear Galant Gen.Naoki Kamishiro.
I'll expose candy’s bang film to the net.
Don't miss it!
レインの鼠が騒いでいる。
鼠を殺せ!
危険が迫った鼠は逃げるのかな?
さあ出番だよ、親愛なる神代直樹。
可愛い彼のポルノはネットに流す。
お楽しみに!
直樹に対する宣戦布告と子供じみた脅迫。
低俗で馬鹿げた行為だが許せなかった。
チップに添付されたメモには場所と時間の指定、差出人の名前が印字されていた。
記された名前が事実であるか否かは眼目ではない。
ただ矢も盾もたまらなかった。
レインの過ごしてきた時間を思うと苦しく、こんなにも彼を想う自分が不思議だった。
レインが傷つくのを見たくない。笑っていて欲しい。
ただ素直に、心の底から切望する自分に従って日本に来た。
これが罠でも構わない。
俺は簡単に殺されたりしない。
――――死に場所はもう決めてあるんだ。
視界が卒然と昏くなった。
闇に包まれた空間に尋常ではない熱気が広がると、身体ごと地中に引き込まれた。
リアルすぎる幻覚を五感から切り離そうと精神を研ぎ澄ましても、落下の浮遊感は一向に消えない。
一刻だったのか、もっと長かったのか。
ようやく地に足がついた直樹は、その圧力に耐え切れず膝をついていた。
重力に骨が軋み、灼熱の空気が内臓を侵す。
乱れた画像の中で膝をつき、泣きじゃくるレインの肩に手を乗せた男が放った言葉は、途切れながらも明瞭に直樹の耳に届いた。
『お前が手にしたものは必ず奪われる。関わったものは全て死ぬんだ、bQ7735』
同様のシーンは繰り返された。
白衣に身を包んだ男たちはレインに愛する対象を与え、それを奪い続ける。
俗悪な映像は途切れ途切れに続き、やがてレインは与えられたものに手を伸ばさなくなった。
場面が切り替わり、四肢を拘束されたまま快楽に喘ぐ少年の姿が大きく映し出された。
艶麗な姿態を露に乱れるレインがあらゆる角度から撮られている。
あどけなさは残るものの、10歳前後に見える。数年経ったもののようだ。
甘い声、卑猥な音。
その場にいた何者かが撮ったらしい画像には目立った劣化もなく、濡れた白肌を鮮明に映し出していた。
レインはやがて、与えられる全てに抵抗を見せなくなった。
1人きりで真っ白い空間を見上げる彼の横顔にはなんの感慨もない。
映像が途切れ、砂嵐の中に赤い文字が広がった。
Reign's mice are squeaking.
Killing a mouse!
Do rats really leave the sinking ship?
It's your turn next――――Dear Galant Gen.Naoki Kamishiro.
I'll expose candy’s bang film to the net.
Don't miss it!
レインの鼠が騒いでいる。
鼠を殺せ!
危険が迫った鼠は逃げるのかな?
さあ出番だよ、親愛なる神代直樹。
可愛い彼のポルノはネットに流す。
お楽しみに!
直樹に対する宣戦布告と子供じみた脅迫。
低俗で馬鹿げた行為だが許せなかった。
チップに添付されたメモには場所と時間の指定、差出人の名前が印字されていた。
記された名前が事実であるか否かは眼目ではない。
ただ矢も盾もたまらなかった。
レインの過ごしてきた時間を思うと苦しく、こんなにも彼を想う自分が不思議だった。
レインが傷つくのを見たくない。笑っていて欲しい。
ただ素直に、心の底から切望する自分に従って日本に来た。
これが罠でも構わない。
俺は簡単に殺されたりしない。
――――死に場所はもう決めてあるんだ。
視界が卒然と昏くなった。
闇に包まれた空間に尋常ではない熱気が広がると、身体ごと地中に引き込まれた。
リアルすぎる幻覚を五感から切り離そうと精神を研ぎ澄ましても、落下の浮遊感は一向に消えない。
一刻だったのか、もっと長かったのか。
ようやく地に足がついた直樹は、その圧力に耐え切れず膝をついていた。
重力に骨が軋み、灼熱の空気が内臓を侵す。
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