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SCENE SECTION
01.死焔 / 02.絡想 / 03.砕願 / 04.対撃・救戯・要塞 / 05.喪失 /
衝撃。
男の一打がブラッドの片腕に食い込んだ。
骨が軋んで喉の奥が鳴ったが、痛覚は遅れてやってくる。
今はそれより優先する衝動、攻撃の本能が全身を走り抜ける。
男の衝撃を己の身に吸収し身体ごと引き寄せたブラッドのもう片手に具現した鋭い大爪が、破裂させるように男の腹を突き破った。
深く穿たれたその場所に、もう片手の獣爪が食い込む。
力を込めた刹那、ブラッドの瑕疵から鮮血が散った。
負傷した自分の腕のことなど失念しているかのように、さらに力を込めて男の身体を中央から2つに切り裂く。
『気に入ったよ…』
鞣革で覆われた口元から紫の血を滲ませた男が、子供の声でそう言った。
2つに分断された身体が不気味に蠕動したかと思うと、無数の触手が爆発的に男から飛び出した。
神速の如きスピードでブラッドの腕を絡め取る。
『あげる。印を…お兄さんには…こっちの方がきっと愉しいよ…?』
「!?」
力を、あげる。
首筋。
卒然とブラッドにしがみついた子供が、抉るように牙を食い込ませてきた。
「痛(つ)っ…、…っ!?」
払い除けようにも、滑った触手が骨を砕かんばかりに食い込んでいて身動きが取れない。
子供は喉を鳴らしながら、水を取り込むようにフォースを嚥下している。
脱力感と眩暈がブラッドを襲った。耳鳴りがして、忽焉と意識が飛びそうになる。
「っ…く」
黒い焔。
昏迷した視界の中で黒焔が揺らめいていた。
その奥、闇から這い出した影が嗤っている――――その姿は…
「……?」
子供がいない。
男の姿もない。
突然気配を絶ったその2つを探そうと豁然とした荒野を一眸すると、黒い群生の中に獲物を上肢で押さえ込むように蠕動する影を見咎めた。
「レイン!」
蹲ったレインと、それに覆いかぶさる醜女の姿。
女は白い首筋にむしゃぶりついていて、足元に赤い血溜まりをつくっている。
酸素不足だった脳に熱が戻った――――いや、沸点に達した。
眦を決したブラッドの瞳孔が糸のように細くなる。
鼓動の音が耳に響く前に女を射程距離に捉えていた。
怒気で軋んだ拳から突き出した獣爪が空気を劈いて溶ける。もはや視覚には映らない。
『ぎゃあっ』
凄まじい女の叫び声が響いた。
ブラッドは女のただ一点だけを注視し打ち抜いていた。
女の身体を串刺して後方に放り投げる。
魔族には「核」がある。ヒトで言う心臓のようなもので、魔物の生命源である魔力を生み出している。
彼らは魔核を慇懃に注意深く隠している。
衝撃。
男の一打がブラッドの片腕に食い込んだ。
骨が軋んで喉の奥が鳴ったが、痛覚は遅れてやってくる。
今はそれより優先する衝動、攻撃の本能が全身を走り抜ける。
男の衝撃を己の身に吸収し身体ごと引き寄せたブラッドのもう片手に具現した鋭い大爪が、破裂させるように男の腹を突き破った。
深く穿たれたその場所に、もう片手の獣爪が食い込む。
力を込めた刹那、ブラッドの瑕疵から鮮血が散った。
負傷した自分の腕のことなど失念しているかのように、さらに力を込めて男の身体を中央から2つに切り裂く。
『気に入ったよ…』
鞣革で覆われた口元から紫の血を滲ませた男が、子供の声でそう言った。
2つに分断された身体が不気味に蠕動したかと思うと、無数の触手が爆発的に男から飛び出した。
神速の如きスピードでブラッドの腕を絡め取る。
『あげる。印を…お兄さんには…こっちの方がきっと愉しいよ…?』
「!?」
力を、あげる。
首筋。
卒然とブラッドにしがみついた子供が、抉るように牙を食い込ませてきた。
「痛(つ)っ…、…っ!?」
払い除けようにも、滑った触手が骨を砕かんばかりに食い込んでいて身動きが取れない。
子供は喉を鳴らしながら、水を取り込むようにフォースを嚥下している。
脱力感と眩暈がブラッドを襲った。耳鳴りがして、忽焉と意識が飛びそうになる。
「っ…く」
黒い焔。
昏迷した視界の中で黒焔が揺らめいていた。
その奥、闇から這い出した影が嗤っている――――その姿は…
「……?」
子供がいない。
男の姿もない。
突然気配を絶ったその2つを探そうと豁然とした荒野を一眸すると、黒い群生の中に獲物を上肢で押さえ込むように蠕動する影を見咎めた。
「レイン!」
蹲ったレインと、それに覆いかぶさる醜女の姿。
女は白い首筋にむしゃぶりついていて、足元に赤い血溜まりをつくっている。
酸素不足だった脳に熱が戻った――――いや、沸点に達した。
眦を決したブラッドの瞳孔が糸のように細くなる。
鼓動の音が耳に響く前に女を射程距離に捉えていた。
怒気で軋んだ拳から突き出した獣爪が空気を劈いて溶ける。もはや視覚には映らない。
『ぎゃあっ』
凄まじい女の叫び声が響いた。
ブラッドは女のただ一点だけを注視し打ち抜いていた。
女の身体を串刺して後方に放り投げる。
魔族には「核」がある。ヒトで言う心臓のようなもので、魔物の生命源である魔力を生み出している。
彼らは魔核を慇懃に注意深く隠している。
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