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SCENE SECTION
01.始動 / 02.対面 / 03.策略 / 04.死闘 / 05.断罪 / 06.終結
「レイン。お前がどう考えようと勝手だけどな。今度ばかりは俺も譲らないぜ」
強く引き寄せるようにしてレインの肩に腕を回し、ワイルドに笑んだブラッドは、沙羅と一哉、それにSA達を見渡し、話は済んだとばかりに話題を切り替える。
「話が逸れて悪かったな。こうしている間にも、テロの脅威は増している。各国の政府、軍が、こぞって俺達に協力を求めてる…ま、結構切迫してるってワケだ。次のターゲットはアメリカだけじゃない。日本、ロシア、中国、フランス…攻撃衛星の射程は全世界に及ぶ。面倒なコトになる前に、俺とレイン、ガーディアンのお二人さんを中心に、さっさとテロリストを潰しちまおうぜ」
あくまでマイペースなブラッドの弁舌が終わるのを待ち、レインが声を上げる。
「ブラッド…放せ」
肩にしっかりと回された褐色の腕を掴むも、その手はビクともしない。
「ヤだ」
「…。ブラッド」
レインの頬に唇を寄せたブラッドが、翠色の瞳を意地悪く細めた。
「俺と組むって言うなら…放す」
顔を近づけられ、反射的に腰を引いたレインを、掴んだ腕ごと強引に引き寄せる。
「……ッ」
痛みを感じるほど強く握られ、眉を顰めたレインが怒気を発するよりも前に、ブラッドは素早く彼の耳元に唇を寄せ、そっと囁いた。
「頼むよボス…。ウチはお前の許可がないとダメっつー決まりだろ。テロリストのせいで、説得する時間がねぇんだ」
押しの強い口調ながら心地いいブラッドの低音が、耳元で揺れる。
下肢に響くそれに、レインは堪らず肩を震わせた。
「なぁ、どうしたらいい? …お前が快く頷いてくれる手段なら知ってるけど…ここでやってもいい?」
「!」
今度こそ絶句し、レインはブラッドの手をパシンと払い除けた。
憎らしげに彼を睨(ね)めつけ、吐き捨てる。
「もういい…お前と組む」
荒っぽく黒髪をかき上げたレインは、ビシイッと音が鳴りそうなくらいの勢いで、ブラッドに人差し指を突きつける。
「ただし、こんな真似は二度と許さないからな!」
「はいはい」
等閑(なおざり)なブラッドの返答を聞き咎め、レインは渋い顔をしたが、やおら蟀谷(こめかみ)に中指を当てると、頭痛を催したかのように顰蹙(ひんしゅく)し、重々しい吐息を漏らす。
ブラッドという男は、女に手が早くてヤらしくて、シリアスな空気が大嫌い、という困った性質の持ち主である。
男相手であろうとも…相手がレインであれば尚更、彼は何をしでかすか解らない。
ブラッドの驚異的な手の早さは、レインが呆れるほど鮮やかで…。
記憶を振り払うように、レインは首を振った。
――そういう話は苦手だ。
そんなレインの内心などお構いなしのブラッドは、仕切り直すように「よし」と声を発すると、沙羅と一哉の背中をポンと一押しし、二人に微笑みかける。
「それじゃ行くか」
首をめぐらせ、未だ不機嫌なまま佇んでいるレインを見遣る。
「レイン。お前がどう考えようと勝手だけどな。今度ばかりは俺も譲らないぜ」
強く引き寄せるようにしてレインの肩に腕を回し、ワイルドに笑んだブラッドは、沙羅と一哉、それにSA達を見渡し、話は済んだとばかりに話題を切り替える。
「話が逸れて悪かったな。こうしている間にも、テロの脅威は増している。各国の政府、軍が、こぞって俺達に協力を求めてる…ま、結構切迫してるってワケだ。次のターゲットはアメリカだけじゃない。日本、ロシア、中国、フランス…攻撃衛星の射程は全世界に及ぶ。面倒なコトになる前に、俺とレイン、ガーディアンのお二人さんを中心に、さっさとテロリストを潰しちまおうぜ」
あくまでマイペースなブラッドの弁舌が終わるのを待ち、レインが声を上げる。
「ブラッド…放せ」
肩にしっかりと回された褐色の腕を掴むも、その手はビクともしない。
「ヤだ」
「…。ブラッド」
レインの頬に唇を寄せたブラッドが、翠色の瞳を意地悪く細めた。
「俺と組むって言うなら…放す」
顔を近づけられ、反射的に腰を引いたレインを、掴んだ腕ごと強引に引き寄せる。
「……ッ」
痛みを感じるほど強く握られ、眉を顰めたレインが怒気を発するよりも前に、ブラッドは素早く彼の耳元に唇を寄せ、そっと囁いた。
「頼むよボス…。ウチはお前の許可がないとダメっつー決まりだろ。テロリストのせいで、説得する時間がねぇんだ」
押しの強い口調ながら心地いいブラッドの低音が、耳元で揺れる。
下肢に響くそれに、レインは堪らず肩を震わせた。
「なぁ、どうしたらいい? …お前が快く頷いてくれる手段なら知ってるけど…ここでやってもいい?」
「!」
今度こそ絶句し、レインはブラッドの手をパシンと払い除けた。
憎らしげに彼を睨(ね)めつけ、吐き捨てる。
「もういい…お前と組む」
荒っぽく黒髪をかき上げたレインは、ビシイッと音が鳴りそうなくらいの勢いで、ブラッドに人差し指を突きつける。
「ただし、こんな真似は二度と許さないからな!」
「はいはい」
等閑(なおざり)なブラッドの返答を聞き咎め、レインは渋い顔をしたが、やおら蟀谷(こめかみ)に中指を当てると、頭痛を催したかのように顰蹙(ひんしゅく)し、重々しい吐息を漏らす。
ブラッドという男は、女に手が早くてヤらしくて、シリアスな空気が大嫌い、という困った性質の持ち主である。
男相手であろうとも…相手がレインであれば尚更、彼は何をしでかすか解らない。
ブラッドの驚異的な手の早さは、レインが呆れるほど鮮やかで…。
記憶を振り払うように、レインは首を振った。
――そういう話は苦手だ。
そんなレインの内心などお構いなしのブラッドは、仕切り直すように「よし」と声を発すると、沙羅と一哉の背中をポンと一押しし、二人に微笑みかける。
「それじゃ行くか」
首をめぐらせ、未だ不機嫌なまま佇んでいるレインを見遣る。
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