page07

SCENE SECTION

01.始動 / 02.対面 / 03.策略 / 04.死闘 / 05.断罪 / 06.終結


しかし、今のレインの態度は、どう見ても彼を歓迎しているようには見えなかった。
それどころか、困却しているようにすら思える。

「待たせたな。今回のお前の護衛(ガード)が到着したぜ、レイン」

「どうしてお前がここに…」

一哉との間を割るようにしてレインの正面に立ったブラッドは192センチあり、178センチのレインよりも一回り大きい。

ナイプの双頭たる二人が肩を並べるという珍しい光景を目の当たりにしたSA達が、小さく嘆声を漏らした。

「言っただろ? お前の今回の護衛(パートナー)は、俺になったんだ」

「何だと? …勝手に決めるな。今回はアリと組むと言ったはずだ」

毅然と言い放ちながらも数歩後退し、距離を取ろうとするレインだったが、ブラッドが大股で一歩足を踏み出し、直ぐに間隔を詰められてしまう。

岡目にもぎこちない二人の、妙なやりとりを目にし、ますます疑念を強くしたらしい一哉は、腕を組み、入念に二人を凝視している。

「アリなら別件に回したぜ。俺が、勝手にな」

ブラッドは、まるで「逃がさない」とでも言うようにレインを真正面から見つめ、淡々とした口調で言い添える。

「お前がガーディアンと組むとなれば、一モメか二モメ起こすと思ったからな。案の定…」

背後の一哉を指し示すように、少しだけ顎を上げる。

「お前がこうだから。俺達はいつも苦労してんだぜ。ここはガーディアンの領域(アウェー)なんだ…もう少し譲歩しろよ」

本当はレインよりも早くここに到着していたブラッドは、今に至るまでの一部始終を見ていた。

レインの突拍子もない言動は、注意したところで直らないと解ってはいるものの、彼にとってはやはり、心配の種だ。

「………」

そんなブラッドに無言の威圧を向けるレインの紅い瞳は、口よりも態度よりもはっきりと、感情を表出している。

それは顕然と、ブラッドに不満をぶつけている。

――譲歩?
――この俺がわざわざこんな所まで足を運んで、こいつらと組むと言ってやっているのに?
――これ以上俺に、何を耐えろって?

事件が起きて主要機関に招集がかかって以降、ここ数日ずっと、レインは機嫌が悪かった。

彼の天敵とも言えるガーディアン総帥、李聯(リー・ルエン)と顔を合わせた日はいつもそうだったが、今日は事更、穏やかではないだろう。

案に相違し、両者は手を組まなくてはならなくなった。

――心ならずも、それには同意した…
――否、してやった。

これ以上の譲歩など、レインには考えられない。

「今回の護衛(ガード)は俺。アリも承諾した…いいだろボス?」

「……」

レインはこの上なく苦り切った面持ちで眉間に皺を寄せ、一哉と沙羅に視線を流す。

それでなくても迫力過多なレインに眼をつけられ、ビクンと肩を揺らす沙羅の隣で、一哉は負けじと彼を睨み返している。

BACK     NEXT

Copyright LadyBacker All Rights Reserved./Designed by Rosenmonat