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SCENE SECTION

01.始動 / 02.対面 / 03.策略 / 04.死闘 / 05.断罪 / 06.終結


バベル研究所は世界をコントロールしている「最重要神経中枢」である。
そんな言葉がまことしやかに囁かれるようになったのは、ここ数年の話ではない。1925年、米国での活動開始以来ずっとだ。

所在地はイギリスのブリストル。
世界中に広がるシンクタンクと深く関与し、様々な活動、リサーチを行っている。

バベル研究所の支配者であるノーマン・メラーズ博士は、洗脳、大衆コントロールのテクニックを創り上げた人物であり、合衆国という「実験場」を強大な非公認組織(サイレンスソサエティ)の指示の下で動かしてきた。

バベルを設立したのはイギリス王室だった。

バベル研究所は――
「彼ら」は秘密が何よりも大切だと教える。

この思想はオカルティズム――
悪魔崇拝に基づく。

オカルティズムは決して絵空事ではない事実として、いま世界を覆っている。

ヒッタイトのグノーシス主義が元となり、それから派生したものたち。
それこそが現在、世界を掌握しているものの正体である。




スナイパーの拠点のひとつ、主にヨーロッパ地区のコンピュータ・システムを管理する情報部は、イギリスのウィルトシャー州、ソールズベリーにある。

何の説明も無いまま軍機から降ろされた沙羅と一哉は、特殊装備を装着したエージェント達に出迎えられ、建物内を進んでいた。

前を歩くレインを急ぎ足で追いながら、沙羅はキョロキョロと辺りを見回していた。

――まさか…スナイパーに入ることがあるなんて。
――何だかドキドキする。

不謹慎とは思いながらも、沙羅はまるで社会見学に来ているかのような気分になっていた。

たまに出くわす警備兵は、先頭のレインを見るや否や、慌てた様子で敬礼をしている。

警備兵には目もくれず、淡々と歩を進めるレインとは対照的に、一歩後ろを歩くブラッドはその都度軽く片手を上げ、気さくに声をかけている。

ブラッドの後に続く一哉はずっと不機嫌な面持ちで、軍機を降りてからは黙したままだ。

一番後ろを歩く沙羅は、漫然と三人の背中を眺めていた。

彼女のよく知るガーディアン東京支部とは違い、ここの壁は特殊仕様になっているらしく、重厚な金属で覆われている。

天井を這う幾重ものパイプは通路のずっと奥まで続いていて、壁には電子板や配電ボックスが無数に取り付けられている。床の所々に黄と黒のゼブラ柄の反射板が貼られ、数メートルおきに設置された格子蓋(こうしぶた)の上を通るたび、カンカンと乾いた音が響く。

すれ違う人の殆どはナイプ規定の制服姿で、時折、警備兵や戦闘員、白衣の人を見かける。
足の速い三人に置いていかれないよう、沙羅は時々小走りになりながら先へと進んで行く。




通路の最奥に当たる部屋の前で足を止めたレインが扉を開けると、網の目の如く部屋中に広がった数多の電子コードが眼前に広がった。

600平方メートル(約180坪)のコンクリートの空間には、無機質な電子音が響いている。

スナイパーのメイン・コンピュータ室はガーディアンの造りとは大分異なっており、コードの数だけは異常に多いものの、主となる機械はたった1台しかないようだ。

全長100メートルにも及ぶそれは柱のような形で、室内中央に屹立(きつりつ)している。

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